ヒワポッポの日 2021

 

【日時】

2021年12月19日(日) 18:30〜21:00

 

YouTubeアーカイブ(2022年1月31日まで視聴可能)

https://www.youtube.com/watch?v=c1TVbIAuMAA


 

【内容】

 アカガシラカラスバトの保全について毎年報告されている「アカポッポの日」ですが、今年はオガサワラカワラヒワも合流し、「ヒワポッポの日」として開催されます!

 2008年に父島で「アカガシラカラスバト保全計画作り国際ワークショップ」が開催されてから13年を迎えました。母島で2020年に行われた「オガサワラカワラヒワ保全計画作りワークショップ」からは1年が経ちました。この間に島民、行政、研究者、各種団体、島外の多数の協力者が協働し、様々な保全策が行われています。

 「ヒワポッポの日」にはみんなで力を合わせてがんばってきた保全策の進捗を紹介しますので、ぜひ多くの方に聞いていただければと思います!

 

【プログラム】

開会

「冒頭メッセージ」渋谷正昭(小笠原村村長)

 

第1部 アカポッポ報告

「WSから13年  ふりかえりロードマップ」 堀越和夫(あかぽっぽネットワーク)・若松佳紀(環境省父島)・諸星雄二(林野庁)・竹中捷(小笠原支庁) 

「研究連携 アカポッポの島暮らし戦略」安藤温子(国立環境研究所)

「域外保全のとりくみ」大賀幹夫(恩賜上野動物園)

 

第2部 オガヒワ報告

「ふりかえりアクションプラン」鈴木創(i-Bo)

「オガヒワ生息状況」川口大朗(Islands care)・諸星雄二(林野庁)・嶋太郎(小笠原村)

「繁殖地_属島ネズミ対策」和田慎一郎(環境省母島)・嶋太郎(小笠原村)

「飛来地_母島本島南部ネコ対策」大日方吉彦・佐々木哲朗(i-Bo)・成田智史(環境省父島)・安藤武史(小笠原村)

「現地域外の取り組み」神門英夫・堀越宙(i-Bo)・田中裕(小笠原支庁)

「動物園の域外保全の取り組み」高橋幸裕(恩賜上野動物園)

「オガヒワの会の報告」向哲嗣・稲垣和仁(オガヒワの会)

「島の取り組み紹介」天谷優里・足立祥吾・宮澤りおん(オガヒワの会)

「WSからはじまった協働の紹介」川口大朗・両角健太(Islands care)

 

第3部

「ヒワポッポの日 未来へ」川上和人(森林総合研究所)

 

閉会

 

 

【主催】

あかぽっぽネットワーク、オガヒワの会

 

【協力】

(一社)Islands care、(特非)小笠原自然文化研究所(i-Bo)

 

【後援】

関東森林管理局 小笠原諸島森林生態系保全センター、環境省関東地方環境事務所、東京都小笠原支庁、 小笠原村、小笠原村教育委員会、おがさわら人とペットと野生動物が共存する島づくり協議会、(公財)東京動物園協会、(公社)東京都獣医師会、小笠原海運(株) 、299の会(飼い主の会)、OPO(飼い主の会)、ボニンインタープリター協会(BIO) 、 (一社)小笠原村観光協会、(一社)小笠原母島観光協会、(特非)小笠原野生生物研究会、小笠原自然観察指導員連絡会、(一社)小笠原ホエールウォッチング協会




ヒワポッポの日2021 質疑応答・メッセージ

 

●質疑応答

質問1

 67万年前にカラスバトからアカガシラカラスバトが分離したということは、その頃、小笠原諸島に渡ってきたと理解してよろしいか?

回答1

 これは「この頃に他のカラスバトの集団との交流がなくなった」ということを意味しています。このため、「それよりはるか前に小笠原に渡来して他集団と交流していたが、67万年前に交流がなくなって孤立した」という可能性もあります。ただし、小笠原は他地域から離れた島なので、その頃に渡ってきて速やかに交流がなくなったと考えて特に問題ないと思います。なお、この「67万年」という数字は、ある一定の頻度で突然変異が起こるという仮定で推定しているため、ある程度の誤差が含まれています。

 

質問2

 動物園から小笠原諸島に戻す試験的計画は、考えられているのでしょうか?

回答2

 現在、域外飼育が開始されているのは、万が一野生絶滅がおきた場合のバックアップ個体群を作ったり、または回復を補強するための個体群をつくるためです。これらの飼育群を島に戻す場合には、環境への馴化、機能訓練、飼育個体における野生下と同様の遺伝的多様性の確保、感染症の持ち込み防止などクリアすべき多くのハードルがあることが予想されています。現時点では、具体的な計画案は策定されていません。

 

質問3

 ネコの「蛇口を閉める」は、村ネコ条例と村民の協力で、ほぼできていると思われるが、野生化したノネコが累代生育している状態と思われるが、新たな対策が必要ではないのか?

回答3-1

 条例に基づき、飼いネコについては登録、マイクロチップ、不妊化等の適正飼育が順調に進められております。もし、不適切な事例があった場合は、小笠原村が、動物対処室の獣医師ら専門家を伴い、指導にあたっています。

回答3-2

 ご質問のとおり、小笠原ではネコ対策によってアカガシラカラスバトや海鳥が回復した一方で、ノネコの完全排除はまだ果たせていません。先行して排除を進めている父島でも、一次は新型コロナでみられるようなリバウンド、ノネコの再増加の波がありました。現在では開始当初の約8倍、年間約9万回もの罠を動かして、父島のノネコは再び減少に転じました。今後は低密度化をさらに進めてゼロ頭にするために、さらなる捕獲圧の強化に加え、新しい手法の開発も必要と考えています。

 国内にはノネコの完全排除に成功した島はまだなく、例えばどのくらい罠をかければノネコを減らすことができるのか、その適切な捕獲圧すらわかっていませんでした。このような背景から、同じ様に野生動物の保全のためにノネコ対策を行っている南西諸島や伊豆諸島の捕獲実務者や研究者との情報共有を進め、連携しながら効果的な対策の確立を目指しています。

 この連携を通して、小笠原では海洋島ゆえの対策の難しさが浮き彫りになっています。それは、クマネズミなど外来ネズミ類が山域に広く高密度に生息していていることです。ノネコを捕獲するとネズミが増えて農業や生活で困るということは皆さんよくご存知だと思います。同じ様にノネコを捕獲排除するのに、このネズミが大きなハードルになっています。小笠原では山に設置したカメラに映る動物の80%が外来ネズミで、父島母島はネズミの島と言っても過言ではありません。このような卓越した外来ネズミの生息は、他のノネコ対策を行っている島々には無い、小笠原だけの特性ということが解りました。この豊富なネズミは、ノネコの餌資源として生存や繁殖を下支えしている上、カゴ罠でノネコを捕獲するのに邪魔をします。ノネコ捕獲のためにカゴ罠を稼働すると、ネズミに餌を奪われ、またネズミの混獲によってカゴ罠が閉じられ、罠の4割が邪魔されます。父島では現在、年間約50頭のノネコが捕獲されていますが、捕獲作業中に混獲する7000頭ものネズミを駆除しています。ネズミを間引きしながら、なんとかネコを捕獲している状況です。小笠原でノネコの完全排除を達成するためには、このネズミというハードルにいかにアプローチできるかが鍵で、今後も島内外の関係者や専門家と知恵を絞り、ブレイクスルーを目指します。

 

質問4

 オガヒワの鳴き声の特徴は調べられているのですか、集団行動の?

回答4

 年間を通じた地鳴きと、繁殖期の囀りの違いは確認されています。囀りは、4月〜6月に繁殖地である母島属島で聞かれます。9月頃にも囀りが聞かれることが多く、年に2回繁殖の可能性がないか調査をしているところです。

 

質問5

 向島ネズミ対策について質問です。聴き逃していたら申し訳ないのですが、ネズミ対策の具体的な数値目標(密度や個体数)は設定されているのでしょうか。

回答5

 繁殖地からの根絶を目標に対策を進めているため、具体的な数値目標は設定していません。対策開始当初は、まずは繁殖地周辺で密度を減らすことを考えていましたが、それでは対策範囲外からの流入を抑えられなかったため、今シーズンから島内全域で密度を減らすよう方針転換しました。繁殖地からの根絶を実現するには、予算面や非標的種への配慮、各属島におけるネズミ類の分布や島間の移動の把握、地域との合意形成等いくつかのハードルがあり、現在そのハードルを乗り越えるための準備をしている段階です。

 

質問6

 ドブネズミの生態的特徴、クマネズミとの違いをどう把握し、対策の違いがあるのでしょうか?

回答6

 小笠原におけるドブネズミの対策事例はこれが初めてで、現時点では、小笠原諸島内の他地域で実施してきたクマネズミ対策を参考に専門家等の意見を聞きながら対策を実施しています。それでドブネズミが駆除できるかについて、手探りで模索しているところです。ドブネズミとクマネズミとでは、一般的に体サイズや食性、移動性等で違いが知られていますが、その違いによりどの程度対策を変える必要があるのか、まだ不明です。小笠原以外の地域でのドブネズミ根絶事例も収集していますが、気候やエサ条件の違いにより繁殖生態等も異なる可能性があるため、小笠原の条件に合わせたドブネズミ対策が必要になると考えています。

 

質問7

 捕獲飼育ヒワ4羽の性別は?

回答7

 現在、飼育している4羽の内訳は、メスの若鳥2羽、オスの若鳥1羽、オスの成鳥1羽になっており、オスメスの2ペアで飼育を行なっています。

 

●応援メッセージ

メッセージ1

 カワラヒワの取り組み、引き続き楽しみです。早くさえずりが聞けるといいですね。

回答

 ありがとうございます。引き続き、メーリングリストやHP、その他いろいろな媒体を通して、皆さんのアクションを発信していきます。オガヒワの島内での状況もできる限り発信していきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 

メッセージ2

 「日本女性獣医師の会」の会員です。情報発信します。

回答

 情報発信、誠にありがとうございます。

 これからも皆さんとオガヒワアクションを収集・共有して起こしていきたいと思いますので、ご協力是非共よろしくお願いいたします。

 

●名前の募集

 オガヒワの名前の応募ありがとうございます。

 多くの方から応募いただいております。

 1月下旬には応募を締め切り、2月中には決定したいと思いますので、よろしくお願いいたします。また、SNSなどで発表も致しますので、お楽しみにおまちください